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 賛同者から寄せられたコメント

 

 

 

 

 日本国憲法や教育基本法の制定に関わった南原繁は、憲法発布時に、新憲法も同じく人の手で作られたものであり、その不完全性がゆえに時代の推移によって将来の改正も予想されると述べた。しかし、その場合「再び保守反動の方向に国家の舵が向けられてはならぬ」と警告した。そして南原は続いて「われわれは新憲法に掲げた理想をどこまでも堅持し、民族の浄化と自己完成を目ざして、歴史の永遠の流れのなかに、断えざる進歩をつづけねばならない」と記した(「新憲法発布」1946年11月、『文化と国家』所収)。

 戦後70年目の今、まさに保守反動の嵐が吹き荒れているが、それがゆえに私たちは不断の努力の必要性を痛感し、大学内外の人々との強い連帯の絆を築こうとしている。この安保法制反対運動の中で生まれた私たちの希望を育て続けてゆきたい。

(文学部 下川玲子)

 

 

 

 

絶望から生まれた希望と勇気

 

 7月16日。安倍政権は、多くの国民の反対を押し切り、安全保障関連法案を衆議院で強行採決しました。来週中頃には、参議院でも、再び強引な数の力で、この法案を成立させようとしています。これは、わたしが物心ついてから日本政治において味わった、まぎれもなく最悪の出来事です。

 この法案には、日米同盟をこれまで以上に強化し、集団的自衛権を行使できるようにすることが含まれています。正義の名のもと、いまだに多くの疑問の残る、ベトナム、アフガニスタン、イラクなどでの戦争を繰り返してきたアメリカにより一層追従することが日本の安全を守ることと言えるのでしょうか。私たち国民の多くは、そのような危険な選択を、全く望んでいません。

 集団的自衛権の行使は、憲法学者の9割以上が違憲だと言っています。歴代の内閣法制局長官、そして、元最高裁長官までもが、はっきり憲法違反だと言い切っている法案です。このような、安倍政権の、専門家たちの意見に耳をかそうとしない姿勢、知性を否定する態度に、この国の政治への深い絶望感をもちました。

 しかし、わたしが経験したのは、絶望ばかりではありません。つい先日、9月9日にJNNの最新世論調査が発表されました。これによると、安保法案の今国会での成立に賛成の国民は30%、反対が61%となっています。政府による安保法案の説明が十分だと考える人はわずか13%、不十分だと考える人が83%となっています。わたしは、このデータに表れた、国民一人一人の良識、理解力に対して大いなる希望をもちます。

 そして、8月30日、日曜日。この日は、日本の歴史において今後長らく語られることになるだろうと思われます。この日、国会議事堂とその周辺には12万人もの人びとが押し寄せました。また、国内200カ所以上でデモが行われました。自分の切実な思いを真摯なことばで表現し、心を揺さぶるスピーチの数々を生み出した若者たち。それ以外にも、こどもをもつ母親、ご年配の方たち、そして学者たちなど、すべての世代の人たち、いろんな立場の人たちの切実な行動は、大いなる勇気にあふれています。

 安倍政権は、わたしにきわめて大きな絶望を与えましたが、それと同時に、わたしのなかに眠っていた、わたしたち国民の多くが忘れかけていた大切なものを思い出すきっかけも与えてくれました。それは、戦後70年間の平和を支えてきたすべての人たちの存在であり、憲法を大切にする立憲主義の精神です。そして何より、この国の主権者はわたしたちだという事実です。わたしたち一人一人がこの国の主役です。一人一人の力はたしかに微力かもしれません。しかし、けっして無力ではありません。勇気をふりしぼり、あきらめず、希望をもって声を上げ続けようではありませんか。そして、いま、ここに生み出されている本当の民主主義が、じっくりと、着実に広がっていくことを信じて、ともに立ち向かいましょう。

(文学部 伊藤雅之 2015年9月11日 名古屋駅前 街宣スピーチより)

 

 

 

 

台湾と日本の戦死者・犠牲者を思う           

 

 台湾東南部の先住民の村に通って30年になります。この村にも高砂義勇隊での戦死者が三名います。お兄さんを亡くした遺族女性Hさんは、何度も何度もその悲しみを訴えています。さらに数年前、驚いたことに、お兄さんの親友であったもう一人の戦死者が彼女の婚約者であったことを告白されました。これが「義勇」という二文字が強いた現実です。銃後の村人たちも飛行場の造成等の労働を強いられました。この村も空襲が激しく、大切な牛を草で擬装し、かつ夜間に農作業を行っていたそうです。Iさんは隣村の空襲で親を失い、養子となって育ちました。悲劇は終戦後も続きます。Bさんは、幼少時、日本軍の残した手榴弾を見つけて遊んでいるうちに爆発し、片目を失いました。戦争はどれだけの人生を狂わせるのでしょう。私の父方伯父も戦死しています。祖母をどれだけ悲しませたことか。父は、仙台の陸軍予備士官学校で終戦を迎えましたが、米軍上陸後の沖縄の飛行場へ斬込隊としての出撃訓練中だったといいます。父から興味深いことを聞いています。訓練中に受けた最初の空襲で、それまで最も勇ましかった同期の男が、機銃掃射の恐ろしさに放心状態、もぬけの殻のようになったとのこと。その人の勇ましさとは、リアリティを欠く想像力に支えられた蛮勇だったのでしょう。

 安倍首相よ、靖国に祀られる戦死者たちの真の声を想像してみるがよい。そして、蛮勇を捨て、本当の勇気を持つがよい。

(文学部 蛸島直)

 

 

 

 

独裁国家の始まり

 

 今回の安保法案には数多くの問題点がありますが、それらの中でも私が特に危機的問題だと考えるのは、その法案の作成・審議手続きのあり方です。安倍首相は、昨年7月1日に閣僚という仲間たちとともに「閣議決定」という勝手な憲法解釈を行い、今年4月には、まだ国会にもはかっていない、その閣議決定に基づく安保法案を「今夏までに成立させる」と米議会で公約し、今国会では会期を延長してまでも、国民の大きな反対を無視してその法案を与党議員の数の力で強行採決しようとしています。この一連のあり方は、「国会議員の数さえ足りていれば、憲法をいくらでも為政者の都合のよいように解釈し、それに沿った法律を次々に成立させることができる」ということを意味します。憲法とは強大な権限を持つ為政者の権力の暴走を防ぐためのものですが、今回の安保法案に対する安倍政権の行動は、完全にこのコントロールを逸脱しています。これはもはや立憲国家ではなく独裁国家であり、このままこの事態が進めば、今後、基本的人権に関わる点でも多くの侵害が始まるでしょう。このような観点から見ると、安倍首相の行っていることは、違憲の集団的自衛権(他国防衛権・他衛権)を導入しようとしているだけではなく、日本の立憲主義そのものを破壊しようとしている暴挙と言わざるを得ません。今回の安保法案問題を考える際には、是非、この観点にも留意していただければと思います。

(教養部 河野敏宏)

 

 

 

 安保法案の採決が差し迫っている今、どこで反対の意を表明したら良いのかと悶々としておりましたところ、こちらのサイトを見つけました。連日ニュースで安保法案の動向が報道されていますが、国会前に反対する人々が溢れていても、世論調査で反対が賛成を上回っていても、与党の方はいずれ理解されるだろうなどと言い、不明瞭な点を残したまま強引に採決しようとしています。しかし、この法案は果たしてそのような雑な姿勢で決定されてよいものでしょうか。戦後の教訓と共に70年保たれてきた平和を脅かすような法案を、戦争に散っていったたくさんの命と将来の国民の命を背負うこの法案を、国民の納得も得ずに強行に採決するのは国民の命を侮辱しているも同じだと私は思います。安保法案のメリット・デメリット以前に、独裁政治とも言われかねないこの決め方に大きな問題があると思います。メリット・デメリットに関しては賛否両論あると思いますが、自衛隊の後方支援や武器使用の緩和などは間違いなく死者を生み出す上に戦争へ巻き込まれるリスクも高くなるのではないでしょうか。戦争に巻き込まれて最も被害を被るのは私達国民です。その国民の意思・命を軽視し採決を押し進める姿勢も合わせ、戦争への足かけとなりうるこの法案には反対です。

(心身科学部 学生 匿名

 

 

 

 

 学部生ですが、本当にこの法案には反対です。少しでも戦争の危険性がある法案そして、憲法違反の疑いというか憲法違反の法案を通すわけにはいけないと思います。さらに、まともに説明も出来ない政府を見ていればおかしいと感じるのは当然です。私の祖父は海軍士官で戦争にも参加し特攻の練習等もさせられたそうです。そんな戦争はもうごめんです。なぜなら、戦争に行くのは権力者ではなく若者なのです。なのでデモにも色々参加しましたがやはり、これからも反対し続けたいです。

(文学部 学生 玉置文弥)

 

 

 

 

 ①国民に対する法案の内容の説明不足、相当数の国民の反対を押し切っての採決という立法手続き上の問題、②集団的自衛権の行使を法制化することで、その実施が国連の集団安全保障の枠内を超えて、客観的に正当性のない紛争への「後方支援」まで事実上歯止めなく行なわれる惧れを孕んでいるように思われる点、③(たとい集団安全保障の枠内であれ)国際的な復興支援など日本のこれまで行ってきた《ソフトパワー》の行使という路線を放棄することで、国内外の邦人を危険に晒す点、④現行憲法との整合性を解釈改憲では正当化することが困難な点、⑤「第三次アーミテイジ/ナイレポート」に見られるような日米関係やその背後の米中関係などと今回の法制の関係について国民に対する説明のない点、⑥以上のような諸点から「抑止力の確保」という趣旨でのみ法案を理解することが困難な点、等々の諸点から、今回の安保法制には懸念を抱かざるをえません。

(教養部 非常勤講師 匿名)

 

 

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